← 日報の書き方・運用ガイド建設・施工現場の日報

工事打合せ簿|指示・協議・承諾の6区分は誰が出す書類か

公開日:  最終更新日:  直感日報 編集部

工事打合せ簿|指示・協議・承諾の6区分は誰が出す書類か
この記事でわかること
- 6 区分の出どころは、共通仕様書の「書面」の定義そのものであること
- どの区分かは「誰が発するか」で決まり、向きが固定なのは指示と報告だけであること
- 「提出」と「提示」は別の用語で、提示は差し出さなくてよいこと
- 契約書第 18 条に該当しない事項は「連絡」でよく、後日の書面化は不要なこと

工事打合せ簿の 6 つの区分は、様式の種類ではありません。指示・承諾・協議・提出・報告・通知は、共通仕様書が「書面」を定義したときに、その中に並べた 6 つの行為です。どれを選ぶかは、書式の好みではなく「誰が、誰に対して、何をするのか」で決まります。指示は監督職員が示すもの、報告は受注者が知らせるもの、残る 4 つは双方向。同じ用語の定義には、打合せ簿にしなくてよい場面まで書かれています。関東地方整備局の土木工事共通仕様書の原文で順に確かめます。

工事打合せ簿の6区分は「誰が発するか」で決まる【早見表】

区分に迷うのは、1 枚の様式に発注者発の行為と受注者発の行為が同居しているからです。神戸市は工事打合せ簿を 6 区分それぞれの様式として配布していますが、様式番号はいずれも様式-10 = 様式としては 1 種類です(神戸市 工事関係書類一覧表・同ページ最終更新 2026 年 4 月 22 日・2026-08-28 確認)。先に定義だけを表にします。

表は横にスワイプできます(最初の列は固定表示)→

区分誰が発するか用語の定義の要点(1-1-1-2)使う場面
指示監督職員 → 受注者(一方向)契約図書の定めに基づき、工事の施工上必要な事項について書面により示し、実施させる(15.)監督職員が実施させる事項を示すとき
承諾双方向(発注者側・受注者側とも)契約図書で明示した事項について、発注者若しくは監督職員または受注者が書面により同意する(16.)契約図書で明示された事項に同意するとき
協議双方向(対等の合議)書面により契約図書の協議事項について、発注者または監督職員と受注者が対等の立場で合議し、結論を得る(17.)契約図書が協議事項と定めた事項の結論を出すとき
提出双方向工事に係わる書面またはその他の資料を説明し、差し出す(18.)契約図書が求める資料を差し出すとき
報告受注者 → 監督職員(一方向)工事の状況または結果について書面により知らせる(20.)施工の状況や結果を知らせるとき
通知双方向(互いに)発注者または監督職員と受注者または現場代理人の間で、工事の施工に関する事項について書面により互いに知らせる(21.)施工に関する事項を互いに知らせるとき
(対照)連絡双方向・書面によらない契約書第 18 条に該当しない事項または緊急で伝達すべき事項を、口頭、ファクシミリ、電子メールなどにより互いに知らせる。後日書面による伝達は不要(22.)打合せ簿にしなくてよい
(対照)提示双方向工事に係わる書面またはその他の資料を示し、説明する(19.)差し出さず、見せて説明する

並びは定義 26.「書面」に列挙された順です。出典は関東地方整備局 土木工事共通仕様書(令和 8 年 3 月改定)第 1 編 1-1-1-2 用語の定義(同 第 1 編 共通編・2026-08-28 実読)。下 2 行は区分ではありませんが、「そもそも打合せ簿にするのか」を先に分けるので並べています。

工事打合せ簿とは — 6区分の出どころは共通仕様書の「書面」の定義

6 区分は様式のバリエーションではなく、契約図書が「書面で行え」と定めた 6 つの行為です。根拠は用語の定義 26.「書面」そのものです。

書面とは、工事打合せ簿等の工事帳票をいい、情報共有システムを用いて作成され、指示、承諾、協議、提出、報告、通知が行われたものまたは工事帳票と同等の内容を備えたデータを有効とする。ただし、やむを得ず、情報共有システムを用いない場合は、発行年月日を記載し、記名(署名または押印を含む)したものも有効とする。

打合せ簿が先にあって用途が枝分かれしたのではなく、「書面により」と各条文が求める行為が 6 つあり、それを受け止める器が工事打合せ簿だという順序です。近畿地方整備局のガイドが示す様式-9 の発議欄に 6 区分のチェック欄が並ぶのも、その現れといえます(近畿地方整備局 土木工事書類作成スリム化ガイド 令和 7 年 6 月・2026-08-28 実読)。

ただし様式番号は発注者ごとに違い、近畿地方整備局は様式-9、神戸市は様式-10 です。当該工事の提出書類一覧と特記仕様書で確認してください。

器が分かったので、次はどの区分を選ぶかです。

指示と報告 — 向きが一方向に決まっている2つ

6 区分のうち、発する側が定義で固定されているのは指示と報告の 2 つだけです。15. の指示は「契約図書の定めに基づき、監督職員が受注者に対し、工事の施工上必要な事項について書面により示し、実施させることをいう」。主語は監督職員で、受注者が指示を発することはできません。

読みどころは「実施させる」という結び方です。通知が「知らせる」で止まるのに対し、指示は相手に行為を求めます。近畿地方整備局のガイドは、工事目的物の変更に伴う指示資料などは発注者が作成すべきものとし、受注者に作成を指示する場合はその費用を発注者が負担する、としています(前掲 スリム化ガイド 10.)。

もう一方の 20. 報告は「受注者が監督職員に対し、工事の状況または結果について書面により知らせることをいう」。事実を伝えるだけなら報告で、相手の判断を求めるなら別の区分になります。工程の進み具合のように専用の様式が別にある報告もあります(工事履行報告書の書き方の記事)。

出す相手にも段があります。指示・承諾・協議は重要さで分かれ、重要なものは総括監督員、軽易なものは監督員、その中間を主任監督員が処理します(1.〜4.)。常駐する現場技術員も監督職員ではなく、指示・承諾・協議・確認の適否等を行う権限がありません。第 3 編 3-1-1-3 (2) の原文は「現場技術員は、契約書第 9 条に規定する監督職員ではなく、指示、承諾、協議及び確認の適否等を行う権限は有しないものである」です(同 第 3 編 土木工事共通編・2026-08-28 実読)。ただし同号は、指示・通知・報告を現場技術員を通じて行うことは認めています。

工事打合せ簿の 6 区分の向きを示した図。上段レーン(スレート)は監督職員(発注者側)で、一方向で発するのは指示(契約図書の定めに基づき、工事の施工上必要な事項を書面により示し、実施させる)。指示・承諾・協議は重要なものが総括監督員、重要・軽易を除くものが主任監督員、軽易なものが監督員の処理(定義 2.3.4.)で、現場技術員は監督職員ではなく指示・承諾・協議の適否を行う権限がない(第 3 編 3-1-1-3 (2))。下段レーン(オレンジ)は受注者(現場代理人)で、一方向で発するのは報告(工事の状況または結果について書面により知らせる)。6 区分の出どころは定義 26.「書面」に列挙された 6 つの行為であり様式の種類ではなく、様式番号は発注者ごとに違う(近畿地整 = 様式-9 / 神戸市 = 様式-10)。中央の帯は双方向の 4 区分で、協議(17.)= 契約図書の協議事項について対等の立場で合議し結論を得る、承諾(16.)= 契約図書で明示した事項について書面により同意する、提出(18.)= 書面またはその他の資料を説明し差し出す、通知(21.)= 工事の施工に関する事項について書面により互いに知らせる。枠外の帯は打合せ簿にしない 2 つで、連絡(22.)は契約書第 18 条に該当しない事項・緊急で伝達すべき事項を口頭、ファクシミリ、電子メールなどで知らせてよく後日書面による伝達は不要、提示(19.)は示し説明することで差し出さず、段階確認の机上確認で提示する施工管理記録、写真等の資料がこれに当たる(第 3 編 3-1-1-4 7.)

向きが決まっている 2 つを外すと、残りの 4 つはどちらからでも発せます。では何で選び分けるのでしょうか。

協議・承諾・提出・通知 — 往復する4つと、対象になる事項

残る 4 区分は主体では選べません。手がかりは「対象になる事項」と「相手に何を求めるか」です

  • 協議(17.)— 「書面により契約図書の協議事項について、発注者または監督職員と受注者が対等の立場で合議し、結論を得ることをいう」
  • 承諾(16.)— 「契約図書で明示した事項について、発注者若しくは監督職員または受注者が書面により同意することをいう」

提出(18.)と通知(21.)は早見表のとおり双方向です。協議は「協議事項」、承諾は「明示した事項」と、どちらも契約図書に根拠がある場合の区分です。契約図書に定めのない相談ごとまで協議で処理するかは、条文からは決まりません。通知は「発注者から受注者へ」と説明されがちですが、定義は「互いに知らせる」で、一方向なのは指示と報告だけです。現場発生品の扱いは協議で決める場面があります(現場発生品調書の記事)。

紛らわしいのが「提出」と「提示」です。提示は示して説明することで、差し出す行為が入っていません。定義 18. と 19. の差は末尾が「差し出す」か「示し、説明する」か、そして提示は検査職員に対しても行われる点です。神戸市の一覧表でも、安全教育訓練実施資料は「監督員へ実施内容の提示のみで提出不要」と書き分けられています(前掲 神戸市)。

提示の代表例が段階確認の机上確認です。第 3 編 3-1-1-4 7. はこう定めています。

監督職員は、設計図書に定められた段階確認において臨場を机上とすることができる。この場合において、受注者は、監督職員に施工管理記録、写真等の資料を提示し確認を受けなければならない。

つまり机上確認で求められるのは、日々の施工管理記録と写真そのものを示すことです。段階確認書の記入欄と提出期限は段階確認書の記入例の記事にあります。

差し出さなくてよいものがあるなら、そもそも書面にしなくてよいものもあります。

打合せ簿にしなくてよい場面 — 「連絡」と書類の簡素化

「なんでも打合せ簿にする」必要はない、と仕様書本文が書いています。用語の定義 22. の「連絡」です。

連絡とは、監督職員と受注者または現場代理人の間で、契約書第18条に該当しない事項または緊急で伝達すべき事項について、口頭、ファクシミリ、電子メールなどにより互いに知らせることをいう。
なお、後日書面による連絡内容の伝達は不要とする。

手段は口頭・ファクシミリ・電子メールでよく、後日あらためて書面を起こす必要はないと明記されています。あとで打合せ簿に清書する運用は、この文の求めるところではありません。

線引きの「契約書第 18 条」は、公共工事標準請負契約約款の条件変更等の条文です。第 1 項は、図面等の不一致・設計図書の誤謬または脱漏・表示の不明確・示された施工条件と現場の相違・予期できない特別な状態の 5 つのいずれかを発見したときは、直ちに監督員に通知して確認を請求しなければならない、と定めています(中央建設業審議会 公共工事標準請負契約約款・令和 7 年 12 月 2 日改正までを含む現行版・2026-08-28 実読)。同条は続けて、監督員の調査、調査結果の通知、必要な場合の設計図書の訂正または変更までを定めています。設計図書と現場が食い違った話は連絡では済まず、通知と確認請求に乗る。当たらない日常のやり取りは連絡でよい、という切り分けです。

書類そのものを減らす取り組みも進んでいます。近畿地方整備局のスリム化ガイドは、令和 7 年 7 月以降の同局発注工事(港湾空港関係・営繕関係を除く)で過度な説明用の資料の作成や添付を求めない(一般的な基準類のコピーの添付は不要)とし、ASP の選定やコリンズ登録の確認書類も不要としています(前掲 スリム化ガイド 3.・4.・10.)。休日・夜間作業届も、週間工程表等を事前に連絡すれば打合せ簿の作成は不要です(同 18.)。

営繕(建築)工事は土木の共通仕様書とは別系統ですが、中部地方整備局営繕部の工事関係図書等一覧表も工事材料搬入報告書を「工事打合せ簿・工事写真・納品書の写しの提出等で省略できる」としています(国土交通省 中部地方整備局 営繕部 官庁営繕の工事書類様式【簡素化】・掲載内容は 2026-08-28 時点)。打合せ簿が他の書類の受け皿になっているのは同じです。

なお、協議や報告の下敷きになる現場の記録を先に整えたい場合は、14 日間無料で試せる、スマホから 15 秒で出せる日報を使う手もあります(クレジットカード不要)。

省ける場面が分かったところで、残った分をどう書くかに進みます。

記載例を探すとき — 何を書けば通るのか

記載例は、発注者自身が公式に配っていることがあります。東京都建設局の受注者等提出書類処理基準・同実施細目は「(請求・通知・報告・協議)書 記載例」などを収めた冊子です(東京都建設局 受注者等提出書類処理基準・同実施細目 令和 6 年 4 月・2026-08-28 実読)。まず当たるべきは当該工事の発注者のページです。

添付資料は、近畿地方整備局が「資料を添付する場合は、極力、既存図面や既存資料を活用」するとし、神戸市も協議の根拠となる基準類のコピーは添付不要としています(いずれも前掲)。新しい資料を作るより、既にあるものを使うのが公的に示されている運用です。定義 28. が工事帳票に「工事打合せ簿等に添付して提出される非定型の資料」を含めているとおり、使えるかどうかは日々の記録が残っているかで決まります。

まとめ: 区分は「誰が発するか」、書かない場面は「連絡」

  • 6 区分は様式の種類ではなく、26.「書面」の定義に列挙された 6 つの行為
  • 向きが固定なのは指示(監督職員 → 受注者)と報告(受注者 → 監督職員)の 2 つだけ
  • 協議は契約図書の協議事項、承諾は明示した事項が対象
  • 指示・承諾・協議は重要さで処理する監督職員が分かれる(総括・主任・監督員)
  • 提出は差し出す、提示は示して説明する。机上確認で提示するのは施工管理記録と写真
  • 契約書第 18 条に該当しない事項と緊急の事項は連絡でよく、後日の書面化は不要(22.)

まずは提出書類一覧で様式番号を確かめ、手元の案件が「実施させるのか・知らせるのか・結論を出すのか・同意するのか」のどれかを言葉にしてください。区分はそこで決まります。

協議や報告の下敷きを日報に残す

なお、弊社が提供する直感日報は日報の記録・数値集計・CSV エクスポートを行うツールであり、工事打合せ簿そのものを作成したり、発注者へ提出したりすることはできません。区分(指示・協議・承諾・提出・報告・通知)の判定、様式や記載例の提供、情報共有システム(ASP)や電子納品との連携機能もありません。また、監督職員や社内の相手とやり取りするチャット・掲示板・メッセージ・通知の機能はありません(発注者との連絡手段ではありません)。勤怠管理・打刻・賃金計算の機能もありません(記録するのはその日の現場の状態と数値であって、出退勤や作業時間ではありません)。直感日報が担うのは、協議や報告を起案するときに必要な「いつ・どの箇所が・どういう状態だったか」を、日付つきで毎日残すところまでです。

担えるのは、その手前の層。日報に 3 点を持たせておくと、起案で遡る手間が減ります。

  • その日、どの箇所がどこまで進んだか(数量と位置)
  • 現場の状態で気づいた変化(設計図書との食い違いにつながる事実)
  • 誰と何を話したか(監督職員・関係機関との口頭のやり取り)

数値項目は設定ゼロで自動集計され、CSV エクスポートで期間分を一覧にできます。項目の決め方は現場日報の書き方の記事にまとめました。

よくある質問(FAQ)

Q1. 工事打合せ簿は誰が書くのですか?

区分によります。指示は監督職員が発し(15.)、報告は受注者が発します(20.)。承諾・協議・提出・通知は双方向で、どちらからでも発せます。

Q2. 承諾と受理は違うのですか?

共通仕様書(令和 8 年 3 月改定)1-1-1-2 の用語の定義に「受理」という語はありません。承諾は「契約図書で明示した事項について…書面により同意すること」と定義された用語で、受理は発注者の処理欄や処理基準で使われる運用上の語です。

Q3. メールで済ませてよい場面はありますか?

用語の定義 22. の「連絡」に当たる範囲、つまり契約書第 18 条に該当しない事項または緊急で伝達すべき事項であれば、口頭・ファクシミリ・電子メールなどでよく、後日書面で伝え直す必要もありません。

Q4. 紙と電子の両方を出す必要はありますか?

情報共有システムを用いて作成・提出した工事帳票は「別途紙に出力して提出しないものとする」と定義 25. が定めています。ただし電子提出できるかは発注者の運用によるため、当該工事の条件を確認してください。

Q5. 工事打合せ簿は何年保存するのですか?

保存年限は本記事では扱っていません。工事書類の保存年数は根拠となる法令・契約図書ごとに変わります。日報側の考え方は作業日報の保存期間の記事に整理しました。

Q6. 民間工事にも同じ6区分がありますか?

本記事が扱ったのは公共工事の契約図書である共通仕様書の話です。民間工事や下請契約に同じ区分があるかは、その契約の契約書と仕様書によります。

関連記事


日報が「書くのも読むのも」速くなる。スマホから 15 秒で提出、集計は設定ゼロ。クレジットカード不要で 14 日間試せます。無料で 14 日試す →400 円/人/月・最低 5 名から

※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、契約実務に関する助言ではありません。工事打合せ簿の様式・名称・番号・提出方法・区分の運用は発注者ごとに異なり、共通仕様書は毎年改定されて条項番号が動きます。実際の運用にあたっては当該工事の契約書・設計図書・特記仕様書・提出書類要領と現場のルールを優先し、区分の選択や手続の疑義は監督職員・発注者にご確認ください。