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型枠の存置期間|せき板・支柱は何日か、建築と土木で違う決め方

公開日:  直感日報 編集部

型枠の存置期間|せき板・支柱は何日か、建築と土木で違う決め方

型枠の存置期間は、法令が日数で決めているものではありません。日数を持っているのは契約図書の側で、建築と土木では決め方そのものが違います。

この記事でわかること
- 建築基準法施行令 76 条は「必要な強度になるまで取りはずしてはならない」と「技術的基準は国土交通大臣が定める」の 2 項だけで、日数は 1 つも書かれていない
- せき板は普通ポルトランドセメントで、存置期間中の平均気温 15℃以上 3 日・5℃以上 5 日・0℃以上 8 日、圧縮強度なら 5N/mm² 以上(標仕 表 6.8.2)
- 支柱は別の表で、梁下は左記の全てのセメントで材齢 28 日、圧縮強度ならスラブ下が設計基準強度(Fc)の 85% 以上又は 12N/mm² 以上(標仕 表 6.8.3)
- 土木の共通仕様書 1-3-8-4 に日数表はなく、設計図書に定めがなければ供試体の圧縮強度をもとに決めて施工計画書に記載する

型枠の存置期間はどこで決まるか — 法令・公共建築工事標準仕様書・土木共通仕様書の3つ【早見表】

型枠の存置期間に関わる文書は 3 つあり、日数表を持っているのはそのうち 1 つだけです。

基準日数表強度で決める場合
建築基準法施行令 76 条なし必要な強度になるまで取りはずしてはならない(1 項)
公共建築工事標準仕様書(標仕)6.8.4あり(存置期間中の平均気温 × セメントの種類)せき板は 5N/mm² 以上、支柱は部位ごとに別
土木工事共通仕様書 1-3-8-4なし構造物と同じような状態で養生した供試体の圧縮強度

日数表を持っているのは、建築の工事で契約図書になる標仕です。

土木の共通仕様書には、せき板や支柱の日数表そのものがありません。同じ「存置期間」という言葉でも根拠の位置が違うので、自分の現場がどちらの契約図書かを先に見ることになります。

型枠の存置期間とは — 令76条に日数は書かれていない

建築基準法施行令 76 条は 2 項からなり、日数は 1 つも書かれていません。

1 項が対象にしているのは、構造耐力上主要な部分に係る型わく及び支柱です。コンクリートが自重及び工事の施工中の荷重によつて著しい変形又はひび割れその他の損傷を受けない強度になるまでは、取りはずしてはならない、と定めています(建築基準法施行令 第 76 条・e-Gov 法令検索・2026-09-06 確認)。

2 項は同じ型わく及び支柱について、取りはずしに関し必要な技術的基準は国土交通大臣が定める、と書いています(同)。

その技術的基準にあたるのが、昭和 46 年 1 月 29 日 建設省告示第 110 号「現場打コンクリートの型わく及び支柱の取りはずしに関する基準」です。令和 6 年国土交通省告示第 1005 号で改正されています(日本法令索引・2026-09-06 確認)。

何日なのかという答えは、契約図書の側にあります。

せき板は何日で外せるか — 標仕 表6.8.2 の「存置期間中の平均気温」

せき板の最小存置期間は、普通ポルトランドセメントなら存置期間中の平均気温 15℃以上で 3 日です。

表 6.8.2 が対象にしている施工箇所は、基礎、梁側、柱、壁です。同じセメントでも 5℃以上なら 5 日、0℃以上なら 8 日に延びます(公共建築工事標準仕様書〔建築工事編〕令和 7 年版 表 6.8.2・2026-09-06 確認)。

セメントの種類でも変わります。早強ポルトランドセメントは 15℃以上で 2 日、高炉セメント B 種等は 5 日、中庸熱・低熱ポルトランドセメントは 6 日です(同)。

材齢ではなく圧縮強度で決める道もあります。せき板は、圧縮強度が 5N/mm² 以上となるまでが基準です(同)。

寒冷のため強度の発現が遅れるおそれのある場合は、圧縮強度により存置期間を定めると 6.8.4 (2)(ア) が定めています(同)。

ネットで見る「20℃以上」「10℃以上 20℃未満」という温度区分は、標仕の表にはありません。標仕の区分は 15℃以上・5℃以上・0℃以上の 3 つで、日本建築学会の規準とは気温の区切り方そのものが違います。

材齢は打込みからの日数なので、日数で行くにしても強度で行くにしても起点は打込み日です。条件になる存置期間中の平均気温は、その日のうちに書かなければ後から復元できず、必要になるのは脱型の承諾を求める場面です。

直感日報(建設・店舗など現場チーム向けの日報管理サービス)は、型枠を外してよいかを判定したり、存置日数や圧縮強度を計算・推定したりするツールではありません。記録するのは、その日どこに何を打ち、天候と気温がどうだったか、供試体をいつ採ったかで、出退勤や賃金ではありません。

紙の日誌に毎日控えているなら、同じ欄を日報の項目に移す手もあります。スマホから 15 秒で出す日報に置いた数値は、直感日報の側で日付つきに並び、CSV でも取り出せます。

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気象データの自動取得、型枠や支保工の設計・構造計算、圧縮強度試験の成績表の作成、品質管理システムや施工管理システムとの連携はできません。日報が試験成績表や監督職員への承諾願の代わりになることもなく、勤怠管理・打刻・賃金計算の機能もありません。

支柱はもっと長い — スラブ下はFcの85%、梁下はFc以上

支柱の最小存置期間は表 6.8.3 に別に置かれていて、梁下は左記の全てのセメントで 28 日です。

せき板と支柱は同じ表に入っていません。標仕は表 6.8.2 をせき板、表 6.8.3 を支柱として分けています(前掲 標仕 表 6.8.3・2026-09-06 確認)。

材齢で決めるなら、スラブ下は普通ポルトランドセメントで 15℃以上 17 日、中庸熱・低熱・高炉 B 種等は 28 日です(同)。

圧縮強度で決める場合も部位で違います。スラブ下は設計基準強度(Fc)の 85% 以上又は 12N/mm² 以上であり、かつ施工中の荷重及び外力について構造計算により安全であることが確認されるまでです(同)。

梁下はもう一段上がります。圧縮強度が設計基準強度(Fc)以上であり、かつ同じ構造計算の確認がされるまで、とされています(同)。

「梁の下の型枠は設計基準強度に達するまで外せない」という説明を見かけます。これは支柱の基準で、せき板については、スラブ下及び梁下のせき板は支柱を取外し後に取り外すと 6.8.4 (4) が別に定めています。

これにより難い場合は監督職員と協議します(同)。

片持梁、ひさし、長大スパンの梁、大型スラブ等の型枠を支持する支柱は、必要に応じて存置期間を延長するとされています(同 6.8.4 (3))。

土木には日数表がない — 供試体の圧縮強度で決めて施工計画書に書く

土木工事共通仕様書には、せき板や支柱の日数表がありません。

1-3-8-4 の 1. は「設計図書に定められていない場合には」という条件を先に置いています。そのうえで、構造物と同じような状態で養生した供試体の圧縮強度をもとに決めるよう求めています(関東地方整備局 土木工事共通仕様書〔令和 8 年 3 月改定〕第 1 編 共通編 1-3-8-4・2026-09-06 確認)。

考慮する項目も条文に並んでいます。セメントの性質、コンクリートの配合、構造物の種類とその重要性、部材の種類及び大きさ、部材の受ける荷重、気温、天候、風通し等です(同)。

決めた内容は、取外しの時期及び順序の計画として施工計画書に記載しなければならないとされています(同)。2. は、コンクリートがその自重及び施工中に加わる荷重を受けるのに必要な強度に達するまで型枠・支保を取外してはならない、と定めています(同)。

条件語のとおり、設計図書に定めがあればそちらが先です。設計図書そのものの順位と照査は、設計図書の優先順位を扱った記事にまとめてあります。

建築も土木も、日数を使わない道は同じところへ行き着きます。現場に置いた供試体の圧縮強度です。

強度で外すときに要るもの — 現場の水中養生・封かん養生供試体と監督職員の承諾

圧縮強度で外すなら、使うのは工事現場で養生した供試体で、監督職員の承諾も要ります。

表 6.8.2 と表 6.8.3 には同じ注が付いています。圧縮強度を圧縮強度試験により確認する場合は、6.9.3(1)(イ) による工事現場における水中養生供試体又は封かん養生供試体の圧縮強度とする、という注です(前掲 標仕 表 6.8.2 注・2026-09-06 確認)。

注が指しているのは、現場と同じ環境に置いた供試体です。練り混ぜたときに採って標準養生したものとは、置き場所から違います。

承諾の手順も条文にあります。6.8.4 (2)(イ) は、6.9.3 によるコンクリートの試験結果及び関係法令等に基づく安全を確認するための資料により、監督職員の承諾を受けると定めています(同)。

告示に基づいて圧縮強度を定める場合は (ウ) です。圧縮強度の計算結果により、監督職員の承諾を受けるとされています(同)。

承諾は受注者から監督職員へ求めるものです。指示・協議・承諾の区分は工事打合せ簿の 6 区分を扱った記事に置いてあります。

なお、承諾は段階確認とは別の手続です。段階確認の様式と記入は段階確認書の記入例の記事にあります。

土木側の 1-3-8-4 も「構造物と同じような状態で養生した供試体」としています。見るのが現場に置いた供試体だという点は共通です。

打込み日から脱型までの2つの道すじ。建築は標仕の材齢か圧縮強度、土木は日数表がなく供試体の圧縮強度で決めて施工計画書に記載する

型枠を外したら養生も終わりか — 湿潤養生期間は別の時計

型枠を外した日と、湿潤養生が終わる日は別です。

土木の共通仕様書 表 1-3-3 の注は、養生期間とは湿潤状態を保つ期間のことである、と言い切っています(前掲 共通仕様書 1-3-6-9 表 1-3-3 注・2026-09-06 確認)。

期間は、使用するセメントの種類や養生期間中の環境温度等に応じて、施工実績、信頼できるデータ、あるいは試験等により定めるとされています(同)。通常のコンクリート工事の目安が表 1-3-3 です(同)。

表 1-3-3 では、日平均気温 15℃以上で早強 3 日・普通 5 日・混合セメント B 種 7 日・中庸熱 8 日・低熱 10 日です(同)。10℃以上、5℃以上と下がるほど日数は延び、低熱は 15℃より低い場合は試験により定めるとされています(同)。

暑中と寒中の区分も日平均気温です。25℃を超えることが予想されるときは暑中コンクリート、4℃以下になることが予想されるときは寒中コンクリートとしての施工になります(同 1-3-9-1 2.・1-3-10-1 2.)。

脱型までの日数は、そのまま工程に効きます。実施工程や出来高の書き方は工事履行報告書の書き方の記事にまとめてあります。

よくある質問

Q1. ネットで見る「4 日」「6 日」という日数は間違いですか?

間違いというより、別の基準の数値です。標仕にも中庸熱・低熱ポルトランドセメントの 6 日はありますが、条件になる気温が違います。

見比べるなら、日数だけでなく温度区分とセメントの種類までそろえる必要があります。まずは自分の現場の契約図書がどちらかを確かめてください。

Q2. 存置期間中の平均気温は、どこの気温を使うのですか?

標仕にも土木の共通仕様書にも、観測点の定めはありません。現場で測るのか気象台の値を使うのかは、発注者・監督職員と確認してください。

Q3. 型枠の組立てや解体作業の安全の規定はどこにありますか?

この記事が扱っているのは取外しの時期で、作業そのものの安全は別系統の規定です。組立て・解体の作業については、労働安全衛生関係の規定を所管の資料で確認してください。

まとめ: 次にやること

  • 自分の現場の契約図書が標仕か土木の共通仕様書か、設計図書に定めがあるかを確かめる
  • 日数で行くか圧縮強度で行くかを決め、強度なら供試体の採取と承諾の段取りを施工計画書に書く
  • 打込み日・存置期間中の平均気温・供試体の採取日を、毎日日付つきで残す

日数を暗記するより、自分の現場がどの文書で動いているかを先に押さえるほうが早道です。

難しいのは 3 番目です。脱型の承諾を求める日になってから日誌をさかのぼると、気温の欄が空いていることがあります。

置き場は紙の日誌でも表計算でも、日報の欄でもかまいません。日報側の型は現場日報の書き方の記事にあります。

その日の打込み箇所と気温を数値の項目にしておけるのが直感日報です。

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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としています。型枠の存置期間や取外しの可否は、当該工事の設計図書・特記仕様書と監督職員の指示が優先します。数値は公共建築工事標準仕様書(建築工事編)令和 7 年版および関東地方整備局 土木工事共通仕様書(令和 8 年 3 月改定)の記載時点のものです。個別の判断は発注者・監督職員にご確認ください。